世相を映すエンターテインメント作品「ミセス ノイズィ」

「ミセスノイズィ」アイキャッチ画像

こんにちは、皆さん!「ミセス ノイズィ」は、私たちの日常で起こりがちなトラブルをテーマにした映画です。ストーリーは、日常の些細な出来事がどんどん大きくなっていく現実を描いており、私たちに多くの教訓とメッセージを与えてくれます。また、主人公が他人の事情を思いやり、自己反省によって成長していく様子も見どころの一つです。本記事では「ミセス ノイズィ」の魅力や見どころ、映画が伝えるメッセージについて詳しく探求していきたいと思います。

目次

「ミセス ノイズィ」予備知識

2020年に公開された映画「ミセス ノイズィ」は、隣人同士の小さなトラブルが大事件へと発展していく様子をコミカル&シリアスに描いた作品です。

第32回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門上映作品。
  
【スタッフ・キャスト】

監督:天野千尋
脚本:天野千尋 松枝佳紀
製作:井出清美 植村泰之

吉岡真紀役:篠原ゆき子(湯を沸かすほどの熱い愛・深夜食堂・相棒season19・・)
若田美和子役:大高洋子(東京組曲2020・さよならエリュマントス・日光物語・・他舞台で活躍)
吉岡裕一役:長尾 卓磨(中村屋酒店の兄弟・夢なかば・鎌倉殿の13人・・)
若田茂夫役:宮崎 太一(こども食堂にて・・)
多田直哉役:米本 来輝(フィガロの告白・・)
吉岡菜子役:新津 ちせ(凪の島・駅までの道をおしえて・・)

★YouTube「ミセスノイズィ」Pickup

子役の新津ちせちゃん。お父さんは映画「君の名は」を
手掛けたアニメーション監督の新海誠さん、お母さんは
女優の三坂知絵子さんです。

「ミセス ノイズィ」ざっくりあらすじ

マンションに越してきたばかりの小説家、吉岡真紀(篠原ゆき子)は、夫の裕一(長尾卓磨)と娘の菜子(新津ちせ)との三人家族。娘の面倒をみながら執筆活動、引っ越しも重なり、イライラが溜まっていました。
そんな中、隣人、若田美和子(大高洋子)による騒音に悩まされます。早朝からベランダで布団をパンパンと叩いているのです。

締め切りに追われる真紀は、近所迷惑とばかり文句の一言を投げつけます。売り言葉に買い言葉で、ベランダでの争いはどんどんエスカレートしていくことに。

ある日、仕事に夢中になるばかりに、娘の菜子が行方不明に。驚いて必死で探し回ったところ、隣人の美和子と一緒に遊んでいたのです。美和子に「母親失格!」と言われ頭にカチン。

娘の菜子を無断で外へ連れ出したり、自宅へ連れてゆくことも気に入りません。お互いに「非常識!」と怒鳴り合いながら、しだいに争いは激化し、心の平静を失ってゆく真紀。夫に相談しても本気で受け止めてもらえません。

編集者からは「作品に深みが無い」とダメ出しをくらう中、真紀は美和子を小説のネタにすることを思いつきます。

隣人との騒音バトルをおもしろおかしく書き起こしたのです。それは動画も含めSNSで若者を中心に大受けし、世間に拡がっていきました。この時点では、騒音おばさんが加害者、真紀が被害者という風潮にありました。

しかし、そのことによりマンションにマスコミが押し寄せ、好奇の目にさらされた美和子の夫、茂夫は、以前から病んでいた神経症が悪化し、ついにベランダから投身自殺を図ってしまいます。

この事件はマスコミやネットで炎上、二人のバトルは視聴者を巻き込み大騒動へと展開してゆくことになってしまいます。最初は他人のけんかをおもしろがっていた世間は、自殺者が出たことで風向きが変わり、今度は小説を書いた真紀がマスコミのやり玉にあげられ、バッシングの対象になってしまいます。

さあ大変! 些細なことから大きな事件へと発展してしまった二人のけんか。さて、この結末はどんなふうに一件落着へと導かれるのでしょうか?

ドタバタ喜劇かと思っていたら、突然の悲劇、そしてことは
人情ドラマへと流れてゆきます。一見の価値あり!

「ミセス ノイズィ」魅力・みどころ

「ミセス ノイズィ」は実際にあった騒音トラブルを題材として制作されています。他人の喧嘩にはすぐに人だかりができますよね。自分と関係ないからおもしろがって高みの見物をするのです。

事件をエンターテイメント作品に仕上げるために、どこをどのようにデフォルメしているのかが一つの見どころポイントですね。

SNSが流行る昨今、悪気の無いほんの一言で傷つけられたり、あるいは逆にバッシングにあったり、うかうかしてると加害者が被害者になったりすることもあります。この映画は、そんな世の中を風刺しているようです。

一枚の布団たたきから始まった隣人同士のバトル。ビデオカメラに写った、大高洋子演じる若田美和子の凄まじいおばさんパワーが炸裂! この強烈なインパクトも見どころですが・・ 

吉岡真紀がこの動画と小説をネタにSNSにアップすると、たちまち人気上昇、真紀は時の人に。しかし、自殺騒動が勃発すると同情票が増え流れは一変、善人と思われていた者が悪人呼ばわりされてしまうのです。

世間の風評って怖いものですね。この辺のどんでん返しをよくよくご覧ください。

物事は、視点を置き換えると全く違って見えてくるものです。

真紀と娘菜子がマスコミに囲まれ困っている所に分け入って助け出したのは、他でもない、バトル相手の美和子でした。このことをきっかけに、真紀は自分の目が曇っていたことに気が付きます。美和子や茂夫の本当の優しさを知り、そしてなぜ布団をパンパン叩いていたのかという真実に辿り着きます。真紀は深く反省し、美和子に謝罪するのです。

本当に大切なものは何か、護るべきものは何か、涙ながらに和解し合うシーンは、人の優しさや温かさをジンワリと感じることができます。

「ミセス・ノイジィ」その魅力は、騒音トラブルの顛末だけでなく、これをきっかけしとた心温まる感動的なとスーリーだったのです。

喜劇から~突然の悲劇へ!そして人情ドラマへと・・

「ミセス ノイズィ」が伝える社会問題

「ミセス ノイズィ」は、映画好きの方々にとって、期待以上のエンターテインメントを提供してくれると共に、社会問題を扱っており、私たちに多くのことを考えさせてくれます。

◆一つは、現代の女性たちが抱える様々な問題を浮き彫りにしています。

例えば、社会的には男女共同参画社会と謳いながら、実際には、男性は仕事に打ち込める一方、女性は母の役割を重視するため、その分仕事がおろそかになりがちです。女性は母親と仕事を両立させるため、心身共に負担がかかっているのが現実です。

本作品の中でも、夫は外での仕事優先、妻は家内での仕事ながら熱中するあまり、幼い子供を放置せざるを得ない状況となっています。その結果トラブルを生む原因となってしまいました。

この時点で、本人が自身の問題に向き合い、謙虚な反省心をもって対処すれば、映画のようなトラブルは防げたはずなのですが、日頃の心身のいら立ちで感情が勝ってしまったのですね。

◆また一つは、SNSメディアの恐ろしさです。

近年、SNSの普及により、情報の拡散が急速に進んでいます。しかし、その一方で、SNSの恐ろしさも露呈してきました。SNSの利用者は増え続けており、誰でも簡単に投稿ができるため、悪意ある情報やデマが広まるリスクも高まっています。

本作品の中でも、SNSによる情報拡散の結果、自殺未遂が起こってしまいます。しかし、その情報は一方的な被害者意識によるもので、真実とは異なる大きな誤解があったのです。

ですから、私たち利用者はSNS上の情報を冷静に判断し、その信憑性を確認し、デマや誤情報を拡散しないように心掛けましょう。また、私たちは、情報を正確に発信する責任も持つべきと考えます。

◆更にもう一つは、隣人トラブルです。

「ミセス ノイズィ」では、隣人同士の関係性や摩擦がリアルに描かれ多くの人々に共感を呼び起こしました。
現代の都市部では、集合住宅やマンションなど、多くの人々が近隣に住み、日々の生活を共にしています。しかし、そこには様々な人々が集まり、様々な価値観や生活スタイルが存在します。そのため、隣人同士の間にはトラブルが生じることも少なくありません。

一人暮らしの人、小さなお子さんのいる家庭、独身者、異なる文化や宗教を持つ人々、それぞれ生活環境が異なります。人間関係の摩擦や価値観の相違によって引き起こされることもあります。騒音、喫煙の匂い、大音量の音楽、深夜までの騒がしい生活などは近所迷惑で非常にストレスとなります。

隣人トラブルを回避するためには、お互いのコミュニケーションや配慮が大切です。問題が起きた場合は、対話の機会を設け、お互いの意見や要望をしっかりと伝え合うことが必要でしょう。中立的な立場の第三者の協力を仰ぐことも一つの方法です。

「ミセス ノイズィ」は、隣人トラブルについて考えさせられる作品でしたね。私たちは、自分自身が隣人トラブルの原因にならないように気をつけるだけでなく、お互いの理解と寛容さを持ちながら、良好な隣人関係を築いていくことが大切だと思います。

お隣さんとは仲良くしようねっ!!

「ミセス ノイズィ」から汲み取る人生哲学と心の糧

「ミセス ノイズィ」は、私たちが日常生活で経験する様々な喜怒哀楽の要素が描かれ、家族、成功、人間関係、人情など、人々が共感できるテーマを探求しています。

優しさ・思いやり ★★

本作品では、隣人トラブルが発生した時、夫の裕一は「妻の自分勝手な言い分」と見抜いているにもかかわらず、そんな妻に真摯に向き合い、思いやってあげようとはしていまぜん。残念ながら夫婦の思いやりが少し欠けているようですね。

一方隣人の夫婦は、お母さんに遊んでもらえず寂しがってる娘を見かねて、度々公園や自宅で一緒に遊んであげたことから、誤解が生じてしまいます。

良好なコミュニケーションがとれずにいると、すれ違いや誤解が生まれ、けんかや戦争が起きてしまいます。この構造は世の中のあらゆることに共通しています。

勇 気

マスコミ陣の理不尽な追及で大勢に囲まれた時、幼い菜子を守るために、大声で割って入ったのは誰あろう、バトル相手の騒音おばさんだったのです。マスコミ相手に吠えて菜子を抱きかかえ救出するのです。騒音おばさん美和子の勇気に感激、さすが熟年おばさん! 本当は優しい人だったんですね。

反 省

些細な口論から大きな事件へと発展してしまったのですが、様々な過程を経て最終的に真実が現れます。真紀は全て誤解から生じていたことに気が付き、深く反省します。反省は精神的な目覚め、仏教で言う所の悟りにも通ずる大切な心です。

叡 智

物事は、視点を置き換えると全く違って見えてくるものです。

縦でだめなら横にしてみる。近くでは見えなかったものが遠く離れることで見えてくる。平常心ならこんなことはすぐに思いつくものですが、ストレスが溜まってイラついていたり、怒りや妬みの感情が高ぶっていると心の目が曇ってしまいます。そうなると、自己中心で相手を思いやる気持ちも失せ、正常な思考を妨げてしまうのです。

暮らしにおいても、人生においても、トラブル・挫折・困難はつきものです。壁にぶち当たったら、水平思考でいろいろな方法・手段・知恵を働かせてみましょう。道はいくらでも見つかるはずです。

映画「ミセス ノイズィ」は、エンターテイメントの中に、多くの人々に感動的な教訓をもたらしてくれる作品です。心に残る出来事や人生の教訓を映像から受け取ることができるはず、きっとあなたの心を豊かにしてくれること間違いありません。

トラブル・挫折・困難は人生につきもの。壁にぶち当たる前に
それと察して善処できる人は素晴らしいですね!

「ミセス ノイズィ」まとめ

はい、「ミセス ノイズィ」は誤解による隣人トラブルと、それを助長させてしまったSNSの恐ろしさ、そして最後は人情話に展開という、喜怒哀楽の心に迫る映画でしたね。

SNSは私たちの生活に欠かせない存在となっていますが、その恐ろしさも忘れてはならないでしょう。正しい情報を共有し、SNSをより安全な場として利用するためにも、私たち1人1人の意識改革が求められます。

日頃、第三者として客観的にニュースを見ている私達ですが、世間の風評に惑わされず、しっかりと本質を見る目を養いたいものです。

SNSという現代性を反映させたタイムリーなストーリー、そして視点を変えることによって事件の様相が一変するという構成もなかなかでした。ぜひこの作品をご覧になり、その魅力を堪能してください。

それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

本ブログはSWELLを使用しています
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この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

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