「おしん」に見る不屈の精神・困難を乗り越える力

おしん/タイトル

皆さん、こんにちは! 日本のドラマ史に刻まれた不朽の名作「おしん」。その壮絶な生涯と不屈の精神は、時代を超えて多くの人々の心を揺さぶり続けています。

戦前・戦後の激動の時代を背景に、少女時代から苦難を乗り越え、強く生きる主人公・おしんの姿は、まさに人生の学びそのものです。

彼女の歩んだ道には、貧困、過酷な労働、そして戦争の悲劇が待ち受けますが、それでも決して諦めることなく、一歩一歩前へ進んでいくその姿は、どの時代に生きる人々にとっても励みとなるものです。

人はどんな状況でも希望を捨てず、困難に立ち向かうことができると、おしんの人生から学ぶことは尽きません。現代に生きる私たちは、今こそ、この物語を振り返り、自らの人生を乗り越える力となるものを見つけてみましょう。

目次

「おしん」予備情報

「おしん」は、1983年(昭和58年)4月~1984年(昭和59年)3月にかけて放送されたNHKの連続テレビ小説です。時代は明治40年~昭和58年まで、戦中・戦後の混乱期を生き抜いた女性の波乱万丈の人生を描いた物語。国内の平均視聴率50~60%と、NHK朝ドラ史上最も高い視聴率となっており、数々の賞を受賞し、世界中に配信され感動を呼んだドラマです。

【スタッフ】

原作・脚本:橋田壽賀子
ナレーター:奈良岡朋子
音楽:坂田晃一

【キャスト】

おしん:少女期/小林綾子 青年期/田中裕 中・老年期/乙羽信子
おしんの母 谷村ふじ:泉ピン子
おしんの父 谷村作造:伊東四朗
おしんの友 八代加代:東てる美
猟師(脱走兵) 俊作:中村雅俊
初恋の相手 高倉(並木)浩太:渡瀬恒彦
おしんの夫 田倉竜三:並樹史朗

田中好子 赤木春恵 浅茅陽子 小林千登勢 田中美佐子 渡辺美佐子
渡辺えり 山下真司 高橋悦史 長門裕之 ガッツ石松 他   

★YouTube「おしん」Pickup

「おしん」ざっくりあらすじ

山形の貧しい小作の娘おしんが暮らす谷村家は、父・母・祖母・兄、既に年季奉公に出ている姉のはるとみつ、そして弟の正助、妹のこうの9人家族。

明治40年の早春。その年、おしんは小学校へ通うのを楽しみにしていましたが、家はここ数年の凶作と借金で極度に貧しい暮らしの中にありました。
父・作造は口減らしのため、嫌がるおしんを米一俵と替えて奉公に出してしまいます。厳冬の最上川を筏で下るおしんを泣いて見送る父母の姿に、おしんは子供ながらも父母の苦しみを察するのでした。

おしん/イメージ

奉公先の中川材木店で、おしんは主人の子守をしながら小学校の授業を覗き見していたところ、それを快く思わない子たちからいじめを受けます。更に店では、紛失した銀貨を盗んだと疑いをかけられ、ついに我慢の糸が切れたおしんは奉公先を飛び出し、最上川の上流にある実家に向かって吹雪の中を歩き続けます。

吹雪の中に行き倒れていたおしんを救ったのは猟師(実は脱走兵)の俊作でした。凍死を免れたおしんは、俊作と炭焼きの松造が暮らす山小屋で冬を越すことに。俊作はおしんに読み書きや算術を教える他、人としての生き方や戦争の話をして反戦を説きます。春が来て、おしんはやっと家に帰ることができたのです。

貧困に喘ぐ家の事情は変わりなく、おしんは次の奉公先、酒田の米問屋・加賀屋に米5俵に替えて出向くことに。働き者で賢いおしんは店の主人・くに気に入られ、同い年の孫娘・加代の勉強相手も仕事の一つとなり、加代と共に成長してゆきます。

第一次世界大戦景気に沸く大正5年、おしんが加賀屋へ奉公に来て7年の歳月が流れていました。16歳になったおしんは家事や帳場の手伝も仕込まれ忙しく働く一方、加代は女学生で自由奔放に暮らしていました。
ある日、警察に追われる高倉浩太を偶然助けることになったおしんと加代ですが、二人共が浩太に惹かれてしまいます。幸か不幸か、この縁はおしんと加代の別れ道となってしまいます。

おしんへの好意をしたためた浩太の手紙を盗み見た加代は、おしんには縁談があると浩太に告げ、自分を東京に連れてゆくよう懇願します。おしんを諦めた浩太は、加代と共に駆け落ちのように上京してしまいます。ショックを受けたおしんは、自分を含め加代と浩太のことでいたたまれず、加賀屋から暇をもらい帰郷するのでした。

おしんの独立への意欲は強く、姉の縁故で東京の髪結、たかの店で働き始めます。ある日、カフェ・アテネの女給たちの洋髪を手掛けていたおしんは、そこで消息を絶っていた加代に再会します。加代は女給をしながら、農民運動のため東京に寄り付かない浩太を一人待ち続けていたのです。おしんに説得された加代は加賀屋に戻り、加賀屋の跡を継ぐべく婿を迎えます。

おしんは、ひょんなことからカフェ・アテネに出入りしていた事業家の田倉竜三と知り合い、親の反対を押し切り結婚します。店の番頭・源右衛門も最初は反発しますが、おしんの人柄や商才に心服し、やがて、おしんには長男・雄が誕生します。しかし、工場の落成祝いという時に、突然襲ってきた大災害、関東大震災により田倉商会は積み上げてきた資産をすべて失ってしまったのです。

仕方なく、おしんと竜三は竜三の実家である佐賀の田倉家の世話になることに。父親の大五郎は竜三や雄の無事を喜びますが、母親の清と竜三の長兄・福太郎は苦言を呈し、おしんに辛く当たります。そのため、夫婦仲も険悪になり、第二子を妊娠していたおしんに、姑のひどい嫁いびりが続きます。産み月を迎え、おしんは女の子を産みますが死産と言う悲惨な結果に終わります。

絶望したおしんは田倉家に愛想をつかし、密かに雄を連れて上京、生活のために一時露天商で食いつなぎ、そのうち雄と故郷山形に帰郷します。そこでは加代や浩太に再会し、三人で酒を酌み交わします。おしんの苦境を知った浩太は伊勢で魚の行商をしている伯母を紹介します。

伊勢に移ったおしんは商魂逞しく懸命に働き仕事は軌道に乗ってきます。おしんは竜三を呼び寄せるため、今まで何度も佐賀に手紙を送っていたのですが、すべて姑の清に隠され、おしんの想いは竜三に届いていなかったのです。

たまたま、おしんの消息を知った竜三は、手掛けていた干拓が台風で全滅したことをきっかけに、新しく出直すと置き手紙を残して田倉家を出奔し、おしんとやり直す決心をします。その後、おしんは三度目の妊娠、次男が誕生します。

時代は大正から昭和へ。世界恐慌の影響で加賀屋が潰れ、加代の一家は夜逃げ同然に離散、落ちる所まで落ちた加代は息子の希望(のぞみ)をおしんに託すのでした。

昭和6年満州事変勃発、日中戦争から始まり世界大戦へ。おしんは非戦を訴えますが竜三は対戦派、軍国主義を雄に教え込みます。戦争の拡大に伴い軍隊への納入が増え、竜三は上機嫌。世の中が物資不足に嘆く中、軍に関わる田倉家は食料に困ることはなかったのですが、おしんの心が晴れることはありませんでした。

やがて、おしんの心配が現実となる時がやってきました。雄も仁も学徒動員で戦争に狩り出され、東京は大空襲に見舞われました。町は焼け野原、田倉家の工場も焼失、ついに日本は無条件降伏に至ります。
そこへ雄の戦死報告が告げられ、間もなく、竜三は手紙を残し消えてしまいます。林の中で自刃していたのです。手紙には「自分の息子や近隣の子息を志願させ殺し、戦争に協力した罪を命で償う」といった内容が記されていました。

夫も長男も失ったおしんでしたが悲嘆にくれてはいられませんでした。おしんは子供たちのために心を奮い立たせ、物資が不足する中、ヤミ屋を始めます。

終戦から4年後、おしんは次男・仁と共に魚や野菜を扱う田倉商店を開店します。優しかった雄と違って仁は身勝手。商売のために、交際していた百合を振って裕福な事業家の娘道子と結婚してしまいます。わがままな道子におしんは辟易、悩みはそれだけではなく、おしんの周りでは、子供たちの結婚や孫の誕生、親族の死、そして貪欲で自己中な仁の経営にも心が休まる時がありません。

高度経済成長が始まろうとしていた時代、田倉商店は流行りのスーパーとして繁盛し、仁は家庭を顧みず商売に明け暮れ、老齢となるおしんに代わり、チェーン店を増やし地元の中堅企業にまで成長していきました。
しかし、近隣に大手スーパーが開店したことで、負債を抱えたスーパーたのくらは苦境に追い込まれてしまうことに。いよいよ倒産か?仁は苦境を家族に打ち明けます。

苦難の人生を乗り越えてきたおしんは、家族の一致団結を説き状況を静観していました。ちょうどそんな時、おしんの旧友・浩太が助け舟を・・

「おしん」見どころ・感じどころ

おしん/イメージ

厳冬の最上川、口減らしのため奉公に出されるおしんを父母が見送る川下りのシーンは、本ドラマを象徴する代表的な名場面です。貧困や悲惨な状況がひしひしと伝わってきて、本当に涙なくしては見られないシーンとなっています。

日本ではもちろん、海外でも高い視聴率を記録し、東南アジアや中東では70~90%というから驚き!放送時間は町を出歩く人がいなくなったという現象も・・

文化が異なる国や地域においても貧困に苦しむ人々は多く、難民や家族との別離など悲惨な状況に共感が得られたからなのでしょう。それ以上に、苦難を耐え前向きに生きようとするおしんの姿は、国境を超えて世界中の人々の心を掴んだのです。

七歳という年齢で奉公に出され、心身共に様々な苦労を体験したおしんは、命を救ってくれた俊作と松造との山暮らしで、人としての生き方を教えられます。それは「人は物より心が豊かであれば幸せになれる」というものでした。

「心が豊か」とは? 俊作がおしんに伝えた言葉を要約してみると、

長い人生を生きれば、時には嫌な人間に会うこともある。しかし決して恨んだり憎んだりしてはいけない。恨みや憎しみは結局自分にはね返って自分も傷つき苦しむことになる。

憎んだり恨んだりする前に、まず相手の気持ちになって考えてみよう。自分が反省するところもあるのかもしれない。それでも理由もなく人をいじめる奴はきっと自分も不幸な人間に違いない。そう思って相手を責めずに憐れんでやればいい、心が貧しくかわいそうな人間なんだと、そう思って許してやることだ。

人を許し、人を愛することができたら、きっと人にも愛される人間になれる。そうすれば心豊かに生きられるということだ。

成長したおしんを待ち受けていたのは、仕事でも結婚でも苦難の連続。しかし、どんな逆境にもめげず、立ち向かい、乗り越えようと努力を続ける姿には強く感銘を受け力をもらいます。

「おしん」人生は生々流転

おしん/イメージ

「おしん」には、一般庶民が戦争に協力せざるをえなかった時代の恐ろしさを伝える強いメッセージが込められています。
戦争は、個人の人生を根底から変えてしまう災禍です。ドラマの主人公おしんは、貧困や苦難に耐えながらも努力と忍耐で人生を切り開いていきましたが、しかし、戦争はそうした努力を一瞬で無にしてしまったのです。

現在、世界で起きている戦火により、多くの人々が平穏な生活を奪われています。ウクライナやガザの人々も、かつては平穏な日常を送っていたはずが、戦争がすべてを変えてしまいました。未だに戦争終結の見通しは立たず、衝突は激化、民間人の犠牲が増え続けています。

おしんの人生は、戦争によって直接影響を受けたわけではありませんが、彼女のように努力を重ねて生きる人々が、戦争によって未来を奪われる現実は、決して過去の話ではありません。

戦争は、個人の努力や希望を踏みにじるものです。おしんの物語が示すように、人は困難に耐え、未来を切り開く力を持っています。しかし、戦争はその力を奪い去り、絶望をもたらします。だからこそ、私たちは戦争の悲惨さを忘れず、平和のために何ができるのかを考え続ける必要があります。

人生はしばしば航海に例えられます。穏やかな海を進むつもりが、突然の嵐に見舞われ進路を失うことがあります。「おしん」の登場人物たちも、幾度となくこの「予期せぬ嵐」に翻弄されました。関東大震災では生活基盤が崩壊、台風の襲来で佐賀の干拓事業は失敗、株の暴落による破産など、どれも彼らの夢や計画を根底から覆す出来事となりました。

しかし、これらは過去の話ではありません。現代においても、自然災害や経済破綻は個人の人生を大きく揺るがしています。大規模な地震や台風災害、コロナ禍、原発事故等々の影響で一夜にして家族の暮らしが崩壊し、仕事を失い生計が立たなくなった人々が大勢いるのです。そうした危機は「おしん」の世界観と驚くほど重なっています。

予測不可能な災害や経済変動を前に、人はどう生き抜いてゆくのでしょうか。人間には「知恵と適応力」があります。失ったものを嘆くのではなく、新たな道を模索し、再び前を向く力があります。「おしん」はただの過去の物語ではなく、現代に通じる強さを教えてくれるものです。

この物語が私たちに問いかけるのは、「変わりゆく世の中で、あなたはどう生きるのか? 予期せぬ嵐への備えは?」ということなのかもしれませんね。

「おしん」まとめ

はい、明治、大正、昭和を逞しく生き抜いた「おしん」の波乱万丈の物語。明治期の貧しい村に生まれ、幼くして奉公のため生家を出された少女おしんが、時代に翻弄され様々に苦労を重ねつつも懸命に生きていく姿は、日本中はもちろん、世界の人々を夢中にしました!

この物語は単なる個人の奮闘記にとどまらず、日本の歴史や世相を映し出す鏡のようでもあります。昭和の軍国期に育まれた愛国精神や女性の生き方、そして戦争の悲惨さと平和の尊さを訴えかけるメッセージが随所に散りばめられていました。

私たち視聴者は、おしんの姿に涙し、その強さに励まされました。時代を超えて多くの人々に希望と勇気が与えられたのではないでしょうか。

それにしても、人生に降りかかる災禍を避けて通ることは容易なことではありません。天災や人災、経済破綻など、夢を打ち砕く「予期せぬ嵐」には十分注意し備えを怠らぬように・・

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

本ブログはSWELLを使用しています
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この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

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