美しすぎる戦神「蘭陵王」の戦いと悲恋物語

蘭陵王タイトル

こんにちは、皆さん! 中国歴史ドラマの中でも、ひときわ美しい伝説を描いた「蘭陵王」。その名を聞くだけで、華やかな宮廷と戦場を駆ける若き英雄の姿が浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
しかし、この物語は単なる英雄譚では終わりません。美しすぎるがゆえに仮面をまとい、宿命に翻弄されながらも愛を貫こうとする蘭陵王の姿は、私たちの心を揺さぶります。

本作は、壮大な歴史を背景に、愛と運命の交錯を描く珠玉の作品です。戦神として名高い蘭陵王が、愛する人のためにどのような選択をし、どのような試練に立ち向かったのか、その悲しくも美しい愛の物語を振り返ってみたいと思います。
本記事では「蘭陵王」が生きた時代背景や、ドラマの魅力・感動の余韻について綴りました。

目次

「蘭陵王」予備情報

「蘭陵王」は、2013年に制作された中国と台湾によるテレビドラマ。中国南北朝時代の北斉、美しい容貌を持ち仮面をつけて戦ったという伝説がある悲劇の王・蘭陵王(高長恭)を、史実とフィクションを絡めて描いた、全46話の歴史ドラマです。ストーリー、映像美も秀逸、中国でも台湾でも高視聴率を獲得した作品です。

【スタッフ】

監督:チョン・シューガイ、キービジュアル:蜷川実花
プロデューサー:フランキー・チェン
音楽:台湾のロックバンド・メイデイ(五月天)

【キャスト】

蘭陵王(高長恭):ウィリアム・フォン(明蘭・永楽帝)
楊雪舞:アリエル・リン(イタズラなKiss・花不棄)
宇文邕(北周皇帝):ダニエル・チャン(王子様の条件)
安徳王(高延宗):ジョージ・フー(ハヤテのごとく)

★YouTube「蘭陵王」Pickup

「蘭陵王」ざっくりあらすじ

時は中国南北朝時代、北斉と北周の戦いが激化している最中のこと。山奥の白山村に住む巫族の長老・楊林氏は、予知能力を持つ孫娘・雪舞(せつぶ)と北斉の蘭陵王(高長恭)との不吉な運命を予見します。

十数年後、聡明な美女に育った雪舞は、湯けむり立ち込める美しい温泉で蘭陵王と運命的な出会いをし、祖母の反対にもかかわらず、敵陣から蘭陵王の腹心を救い出す手助けをするため村を離れてゆくのでした。

危機を乗り越え、生死を共にした二人は強く惹かれ合うも、雪舞は故郷へ戻ろうと軍営を後にします。その途中、瀕死で追手から逃れようとする青年・阿怪を助け介抱しますが、その男は敵国・北周の皇子・宇文邕(うぶんよう)だったのです。

蘭陵王イメージ

その後、回復した宇文邕は北周へ戻り、大群で北斉へ攻め入ります。迎え撃った蘭陵王は毒矢を受けて衰弱し、雪舞は解毒薬を手に入れるため、信頼する友人、韓暁冬と共に密かに北周に入り込みます。
天女との風説がある不思議な力を持つ巫族の娘が雪舞と知った宇文邕は、雪舞の侵入を待ち構え、丁重にもてなし、籠の鳥にしてしまうのでした。

蘭陵王が倒れた隙を狙って、再び北周の大軍が洛陽城を包囲し、あわや落城とみえたその時、暁冬が命がけで持ち帰った解毒薬で回復した蘭陵王は、軍神の面を被り、颯爽と現れ、500騎の少数精鋭で10万の大軍を撃破することに成功します。

蘭陵王の大いなる勝利を歓迎し、功績を讃える祝宴が開かます。隙を見て北周から逃げ出した雪舞は、蘭陵王と再会を果たし、二人は祝福され婚礼を挙げることに。
しかし、幸せな日々は長く続かず、王位を狙う高緯(こうい)は蘭陵王を危険視し、蘭陵王から天女を引き離すため、蘭陵王を慕う鄭児(ていじ)の嫉妬心を利用し様々な悪事を画策します。

陰謀に振り回され雪舞はまたもや北周の兵に連れ去られてしまいますが、密かに潜伏した蘭陵王が見守る中、北周に政変が起こり、これをきっかけに宇文邕は蘭陵王と雪舞を解放し、両国の停戦を約束します。ここに宇文邕と蘭陵王の間に男同士の信頼関係が生まれるのです。

宮廷では陰謀により、高緯が王位を継承し、皇帝も皇太后も暗殺されてしまいます。蘭陵王は、人質にとられた兵士を守るため、また国の安寧のため兵権を手放すことを決心し、潔く毒酒を賜るのでした。

蘭陵王の死を知った雪舞は悲しみのあまり、死を選ぼうとしますが、子を身ごもっていることに気づき死を思い留まります。

一方、宇文邕は、蘭陵王が自分の死後宇文邕に雪舞を託すという手紙を韓暁冬から受け取り、行方不明の雪舞を探し出し、妃に冊立すると申し出ます。困惑する雪舞でしたが、蘭陵王が残した手紙に涙を流し、宇文邕の庇護を受け入れるのでした。

北斉では、蘭陵王を慕っていた鄭児は今や高緯の妃・小憐となり、彼女は蘭陵王の毒酒に手を加え、仮死状態の蘭陵王を幽閉していたのでした。

しかし、仮死状態から覚めた蘭陵王は、宮廷を脱出、雪舞の安否を尋ねると共に、高緯の暴政に苦しむ貧しい民衆を助ける仮面の義士として官兵と戦っていました。朝廷への不満は益々募り国は混乱を極めていました。

その頃、雪舞は北周の後宮での争いを避け、小さな村で息子・平安と共に暮らしていました。母子を密かに見守って来た蘭陵王でしたが、ついに仮面をはずし雪舞と感動の再会を果たし抱き合うのでした。

北斉の皇帝・高緯は政治に無能・無関心、讒言で有能な部下を粛清するなど腐敗政治により傾きかけた北斉に、宇文邕率いる北周軍が襲いかかり、ついに北斉は滅亡の危機に陥ります。
国を守ろうとする蘭陵王、蘭陵王を守ろうとする雪舞。混戦の中、二人に放たれた高緯の矢は・・

「蘭陵王」見どころ・感じどころ

蘭陵王イメージ

◆美しすぎる!悲劇の王・蘭陵王 

蘭陵王はあまりに美しい容貌のため、仮面をつけて戦ったという伝説があるほど。しかし、その美貌や実力が疎まれ、皇帝から死を賜った悲劇の王として知られています。

ドラマでは、こうした運命に翻弄されながらも心優しい女性雪舞に出会い、愛を貫く姿に胸が打たれます。蘭陵王を疎む北斉の皇帝、天女雪舞を手にいれようとする北周の王子、蘭陵王を慕うが故に嫉妬に狂う鄭児、襲いかかる彼らの陰謀と困難を乗り越え、果たして二人の愛は結ばれるのでしょうか・・

美しい映像と音楽、テンポの良いストーリー展開、また衣装も素晴らしく、ハイ・クオリティな作品となっています。

◆歴史ファン必見・中国古典時代劇

蘭陵王は中国南北朝時代の北斉に実在した皇族の武将・高長恭の称号で、その勇猛な戦いぶりと美貌で後世に語り継がれています。彼は皇帝に妬まれ、33歳という若さで自害させられてしまった悲劇の王として知られています。

史書には蘭陵王が幾多の戦場で仮面を被って戦い勇名をはせたこと、美貌の持ち主であったこと、人々に慕われていた人柄など多くの記録が残されています。
そうした事実はこのドラマでも表現されていますが、妻や子供については殆ど記録が無く、ロマンスについてはフィクションで補われているようです。

このドラマでは蘭陵王が活躍する北斉のみならず、敵国の北周の様子も描かれ、また、宇文護、宇文神挙、尉遅迥、楊堅など、次の時代に活躍する人物も登場しているので、歴史の流れを思い描きながら見るのが面白いところです。

◆トップクラスのスタッフ&キャスト

中国・香港・台湾の実力スタッフとトップクラスのキャストによる作品、アジア中で大ヒットしました!
蘭陵王は中国では美男の代名詞。そんな蘭陵王を演じたのは「明蘭~才媛の春~」の実力派俳優ウィリアム・フォンさん。対立する北周の王子を演じたのは、香港で活躍するアイドル、ダニエル・チャンさん。ヒロインは「イタズラなKiss」で人気のアリエル・リンさん。
ヒロインも可愛いですが、ヒーローの二人も男前でしっかりと見応えあります!

蘭陵王のアナザーストーリー
「蘭陵王妃~王と皇帝に愛された女~」
蘭陵王と蘭陵王の敵である北周の武帝・宇文邕との間で揺れる女性・清鎖、悲しき運命に翻弄される三人のロマンスが美しく描かれた作品です。蘭陵王はアンディ・チェンさん。宇文邕はポン・グァンインさん。ヒロイン清鎖はクリスティ・チャンさん。こちらの映像美も素晴らしい!

「蘭陵王」歴史と伝説

蘭陵王イメージ

5~6世紀、華南には宋、斉、梁、陳の王朝が興亡、華北では北魏により国が統一されますが、その後、東魏と西魏とに分裂、更に東魏は北斉に、西魏は北周にと政権が移行します。

北周の政権を掌握したのは宇文泰で、この族系統は大軍閥となり、特に北周の武帝(宇文邕)の時代は兵力を増強し、北斉の蘭陵王と激しい戦争が繰り返されました。
北斉では政治的な混乱が絶えず、暗愚な皇帝・高緯は蘭陵王を含め有能な家臣を次々に粛清したことにより、やがて北周に滅ぼされてしまいます。

北斉は約28年という短命の王朝、この間に生きた蘭陵王は戦に長け人心も掌握していたため、皇帝・高緯に危険視され、最終的に粛清されてしまいます。この時点で蘭陵王に関する記録も消されてしまった可能性があり、更には、その後間もなく、北斉は北周に滅ぼされたため、北斉の様々な資料は抹殺されたと考えられます。

その後、北周の政権も移り変わり、隋・唐へと繋がってゆきます。

蘭陵王(高長恭)は、武勇に優れた武将であり、また美しすぎる武将としても知られています。
蘭陵王の美貌に関する記録は歴史書に多く残され、戦場では仮面をつけて戦ったという逸話は伝説としても伝えられています。

なぜ仮面を付けて戦ったのでしょうか?戦いに仮面を付けていたらうっとうしいのでは?
武将でありながら美しすぎるのは、威厳に欠け敵に軽視されてしまうのを恐れたため? もしかして、美しいと言うのは、童顔で可愛く子供のように見えてしまうからだったりして・・

容貌は別として、恐ろしい仮面を付けて戦ったのは、味方の士気を高め、敵には威圧感を与える演出と考えれば、蘭陵王の知略のほどが伺えますね。

蘭陵王は武将として数々の戦場を駆け抜けました。中でも、564年に北斉と北周の間で行われた邙山(ぼうざん)の戦いは、彼の勇猛さを象徴する戦いとして語り継がれています。
北周の宰相・宇文護が北斉の洛陽を包囲した際、北斉の蘭陵王や斛律光が少数の精鋭を率いて援軍に入り、北周の大軍を撃破し味方を勝利に導きました。

この時の蘭陵王の雄姿を讃え、作られたのが「蘭陵王入陣曲」という楽曲です。戦勝を祝い北斉の軍中で演奏され、特に蘭陵王の活躍を称えるものとして知られています。

北斉滅亡後もこの楽曲は絶えることなく、唐・宋・元にも戦勝祈願の儀式や軍楽として宮廷に受け継がれ、現代では、戯曲や京劇、テレビドラマの題材としも取り入れられ、中国文化に大きな影響を及ぼしています。

蘭陵王(541年〜573年)は数々の歴史書(北斉書・北史など)に残る実在の人物で、北斉の皇族・高長恭の称号です。封地が蘭陵であったため蘭陵王と呼ばれていました。蘭陵の地名は現在の山東省南部に位置する蘭陵県として受け継がれています。

蘭陵王は武勇に優れた武人であっただけでなく、歴史書によれば、謙虚で礼儀正しく、奢ることもなく、兵士たちには寛容で民衆にも慕われていた人格者と伝えられています。
そうした蘭陵王の性格や華々しい戦歴、美貌については多くの逸話が残されていますが、妻子に関する情報は全く見つかりません。年齢から考えても、また王族であれば子孫を残すため、結婚していた可能性は高いと推察しますが、なにしろ悲劇の王、本人は粛清され、国は滅亡と政変が続く中で詳細な記録は排除され残らなかったのでしょう。

ドラマでは、蘭陵王と雪舞の間には息子が生まれて、血統は受け継がれたと思わせる展開になっています。また史実では、蘭陵王は毒薬を賜り自死していますが、ドラマでは死なずに雪舞と再会するという設定になっています。

蘭陵王は若くして悲劇的な最期を迎えたため、伝説的な英雄として今日まで語り継がれてきたのですね。ドラマの蘭陵王のロマンスはフィクションですが、彼の勇壮で優しい人となりがよく描かれていたようです。実際にも、そのような人だったのでしょう・・

「蘭陵王」まとめ

はい、日本の雅楽でも知られる「蘭陵王」、実に美しい映像美で楽しむことができました。

現代においても、ドラマや小説で蘭陵王の名を耳にすることは多く、歴史上の実在の人物にフィクションを絡ませた、英雄の美しくも悲しく、ドラマチックな物語に惹きつけられました。

美しき戦神・蘭陵王は、英雄として歴史書に美化され伝えられてきましたが、本当にドラマの中のような勇壮で優しい人柄だったのかもしれません。これからも歴史と伝説の狭間に生き続け、語り継がれていくのでしょう・・

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

本ブログはSWELLを使用しています
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

目次