こんにちは、皆さん! 多感な高校時代、ふと交わす視線、言葉にならない想い・・中国BL青春ドラマ「ハイロイン〜Stay With Me~」は、そんな繊細な瞬間を捉え、友愛と家族愛という普遍的なテーマが丁寧に描かれたドラマです。
互いに支え合う主人公たちの姿は、恋という枠を越えて、家族にも似た絆を感じさせ、見終えたあとには温かくて優しい余韻が残ります。
青春の煌めきと心の成長を描いた本作、多くの人の心を掴んだBLドラマの魅力とは? 多様な性が認知されジェンダー平等の時代の人間愛とは? 世情を探索しながら本作を振り返ってみたいと思います。
「ハイロイン〜Stay With Me」予備情報
「ハイロイン〜Stay With Me」は2022年の中国で放映された全24話のBL青春テレビドラマ。2016年に途中放送禁止となった幻のBLドラマ「ハイロイン」のリメイク版です。
親の再婚で義兄弟となり、偶然同じ高校の同級生となった主人公二人が、複雑な家庭の事情に向き合いながら多感な思春期を過ごします。心の成長と友愛、家族愛が描かれたホットな物語です。
【スタッフ】
監督:スー・シャオチェン
脚本:ザンア
原作:チャイ・ジーダン
【キャスト】
スー・ユー(蘇御)役:ジャン・ジョンミン
ウー・ビー(呉比)役:シュー・ビン
「ハイロイン〜Stay With Me」ざっくりあらすじ
高校に通うスー・ユーは父親と二人暮らし、生活は貧しいがご近所さんの母娘と助け合いながら円満に暮らしています。
スー・ユーが子供の頃、母親はお人よしで貧乏暮らしの父親に見切りをつけスー・ユーを残したまま家を出てしまったのです。
そんなスー・ユーのクラスに一人の転校生ウー・ビーがやってきます。ウー・ビーは裕福な家庭環境で育ってきましたが、子供の頃母親を亡くし、高校生の今、後妻を迎えた父親に反発し転校してきたのでした。
成績がトップクラスで性格も良いスー・ユー、対して出来の良くないひねくれ者のウー・ビー、最初は反発し合うばかりの二人でした。

ある時、ウー・ビーが不良に絡まれているスー・ユーを助けたことをきっかけに急接近、それぞれの家の事情を知らないまま親しくなってゆきます。
ウー・ビーは、スー・ユーの父親やご近所さんの母娘たちと、貧しくも助け合う暖かな暮らしぶりに家族だんらんの幸せを感じ、彼らと食卓を囲み、やがて家族同然の如く仲良くなってゆくのでした。そんな生活の中、母親のいない心の傷に共感し合うスー・ユーとウー・ビーは友情を超えて、お互いに特別な感情を抱くようになります。
ある時、スー・ユーの元に富豪と再婚した母親が会いにやって来ます。スー・ユーは自分の母親がウー・ビーの継母と知り驚き悩みます。ウー・ビーは母親が亡くなったのは、父と浮気していた継母が原因だと恨んでいたからです。
スー・ユーは自分を捨てた母親が憎くもあり、同時に恋しくもありました。母のために、またウー・ビーのために、スー・ユーは真相を探るべくウー・ビーの怖いという伯父に会いにゆきます。さんざんな目に会わされ、ほぼ真相に近づくことができたのですが、この事実を知ったウー・ビーとの間に亀裂が入り、二人の距離は離れてしまうかにみえました。
そんな時に二人の仲をつないでくれたのは、ノー天気なスー・ユーの父親と優しい家族たちでした。再びスー・ユーとウー・ビーの時間が動き始めたのですが・・
ウー・ビーの父親は、頭脳明晰で優秀なスー・ユーと、その母親である後妻を優遇するのですが、それを快く思わない親戚の企みにより、二人が乗る車が交通事故に遭遇、瀕死のウー・ビーは・・

★ラストはちょっとつらい、どうなってしまうのでしょうか???
「ハイロイン〜Stay With Me」見どころ・感じどころ


◆爽やかな Boy’sロマンス・・
優等生のスー・ユーと不良少年のウー・ビー、二人は最初は衝突していましたが、学校でのトラブルや家族との時間を過ごすうち、次第に打ち解けて、やがて二人は友情を超える仲に・・
オリジナルの「ハイロイン」とは趣が異なり、熱いシーンはありませんが、ハグやおでこチュー、頬寄せで想いを伝える様子が甘酸っぱく爽やか。恋愛感情の表現については、随所にそうした仄めかしがありますね。自転車の向い合い乗りには笑ってしまいましたが・・危険なのでこんな行為はしないように!
◆癒しの家族愛にほっこり・・
血縁だけが家族の絆ではないのですね。スー・ユーの家と、屋台で生計を立てているお隣さんの母親と娘とは家族ぐるみの付き合いで本当に仲良しなのです。
ここに他人であるウー・ビーが入り込んでくるのですが、一緒に食卓を囲んで楽しく話しながら食事する風景は、本当の家族団欒のようで心温まるシーンです。
幼いけれどおませな娘は劇中とても良い仕事をしてくれます。スー・ユーの父親と母親の心情、そしてスー・ユーとウー・ビーの心情を見透かしているかのように振る舞い、その可愛さに癒されます。
◆未練が残る衝撃のラスト・・
物語に布石の一つとして、ウー・ビーの母親が残した彫刻に秘めらた謎が終盤に明かされます。
しかし、そこに突然の交通事故。アーッと思う間もないエンディングにはガックリきました。
ウー・ビーの明確な死は語られず、生への可能性は視聴者の想像に任せられ物語は締めくくられます。
気になって仕方ないので、原作を調べてみたら、どうやら生存していたようで、主人公の二人はいったん離別するも8年後に再会し関係を取り戻ことになったようです。安心した~・・
「ハイロイン〜Stay With Me」BL雑感


アジア圏で増え続けるBL映画・ドラマ
多様な性のあり方は社会的に認知されつつあり、法的な整備も進み始め、今や公に「男女共同参画ビジョン」の名のもとにジェンダー平等が叫ばれる時代です。こうした時代において、性差を超えた同性愛は異性愛と同様に美しい人間愛とも言えるものでしょう。
そうした世情を背景に、BL映画・ドラマが次々と作られ配信されています。様々な作品の中には、同性愛を煽るものがある一方、真面目な恋愛を細やかに表現している上質なものもあります。
何作かは感動して涙してしまうものもあり、視聴後はLGBTへの見方・考え方も変わりましたね。
邦画では、抱腹絶倒の【おっさんずラブ】、死線を超えてラストで泣ける【Life 線上の僕ら】などはいかがでしょうか。
性差を超えて、すべての愛は美しい
人間愛という視点で捉えると、同性愛も異性愛も、それぞれが持つ感情や絆の深さに優劣はなく、どちらも人間らしい豊かな愛の形だと考えられます。性別を超えて相手を思いやる心、寄り添い支え合う関係は、愛そのものの本質を表しているのだと思います。
古代ギリシャや江戸時代の日本など、同性愛が自然な人間関係として受け入れられていた文化も存在してます。愛は規範に縛られるものではなく、個々の内面から生まれるものであり、そこに性別の境界は不要という思想も根強いのです。
時代の変化のなかで、愛の形そのものに対する再評価が進むことは、社会全体の成熟にも、未来の人類へもつながるものかもしれませんね。
セクシュアルマイノリティ
セクシュアルマイノリティとは、LGBT(Lesbian・Gay・Bisexual・Transgender)を含む性的少数者のことで、全人口に対して10%近くの割合で存在しているとされます。今や性のあり方は多種多様であり、社会的にも多くの人が認知するようになっています。
生物学上で男性・女性という差異はあるものの、現代では男らしさ、女らしさ、あるいは中性・両性は社会的な文化の中で醸成されてゆき、今や公に「男女共同参画ビジョン」の名のもとにジェンダー平等が叫ばれる時代です。
それでも、従来の規制概念をぬぐえず、偏見や違和感を持つ人々が多いことも事実でしょう。
それ故、セクシュアルマイノリティの人々は学校や職場でのいじめや疎外感など、社会生活において多くの困難や支障に直面しています。少しずつ改善は進んでいるとはいえ、同性のパートナーは配偶者と認められないため、保険や福祉など適切な公共サービスを受けられないことも多くあるようです。
日本では近年「LGBT理解増進法」が施行され、男女共同参画というお題目の下、企業や自治体の取り組みも活発になっています。これは単に男女平等だけではなく、より広範な人間の尊厳に基づく平等を目指しているものとも言えるでしょう。
時代と共に、私たちも認識を改め、進化していかなければならないようです。
「ハイロイン〜Stay With Me」まとめ
はい、氾濫するBLドラマの中でも、爽やかで温かいストーリー、ちょっとしたミステリー要素もあり、終わりまで一気見してしまいました。
スー・ユーを演じたジャン・ジョンミンさんの方がシュー・ビンさんより4歳ほど年上、年齢差があるも高校の同級生として違和感はなく、二人の関係とその変化の過程が丁寧に描かれていました。
ボーイズラブファンだけでなく、ファミリードラマとしてもなかなかよく仕上がっている癒やし系ドラマ、お勧めの一本です。
本作をきっかけに、今回セクシュアルマイノリティについて学びました。どうやら既成概念を払拭し、頭の改善が必要なようです・・



★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!