時空の森「トランス・ワールド」不思議な感覚のサスペンス&ミステリー

トランスワールドタイトル

こんにちは、皆さん!今回のお勧めは、SFと心理ドラマが絶妙に融合した作品「トランス・ワールド」です。

抜け出せない時空の森に引き寄せられるように迷い込んだ3人の男女が、それぞれの人生と向き合いながら、交錯する過去の真実に気づき、不遇な環境を打ち消し未来を変えようとする、ちょっと不思議なストーリー。

限られた空間と登場人物の中で展開される物語は、密室劇のような緊張感と時空を超えるスリルとサスペンスに満ち、静かに、しかし確実に、過去の因縁に導かれ、次第に不可解な謎が明らかになってゆきます。巧みに仕掛けられた真実の断片、後半の伏線回収も見事な納得の脚色です。

今回は本作を通じ、現実と異世界を結ぶ不思議な感覚について考察してみました。

目次

「トランス・ワールド」予備情報

「トランス・ワールド」は、2011年のアメリカSF映画(原題はEnter Nowhere)。森の中に迷い込み謎の山小屋で出会った3人の男女。森を歩き回っても抜け出すことができない奇妙な現象を協力して乗り切ろうとしますが・・偶然か必然か、彼らの過去の接点と運命を描いた不思議なサスペンス&ミステリー映画です。

【スタッフ】

監督:ジャック・ヘラー
脚本:ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン

【キャスト】

スコット・イーストウッド、サラ・パクストン、キャサリン・ウォーターストン他

★YouTube「トランス・ワールド」Pickup

「トランス・ワールド」ざっくりあらすじ

ある夜、ジョディは不良仲間とコンビニ強盗に押し入り、金庫を開けるよう銃で店主を脅します。しかし、店主は「金庫を開けるのは構わないが、あなたが中身を気にいるとは限らないよ」と不可解な言葉を言い、気に障った彼女は店主を撃ち殺してしまいます。

所変わって、とある森の道、車がガス欠となり助けを呼びに行った夫を待つ妻サマンサは、なかなか戻らない夫を探すうち、道を失い森に迷い、古びた一軒の小屋に辿り着きます。

トランスワールドイメージ

そこには、やはり車が故障し小屋に辿り着き、森を出ようとして出られず、数日前からここに泊まっているという男性トムがいました。

夜になると気温が下がり寒気に震えながら、電話すら無い小屋で2人は助けを待つことに。翌朝、小屋の前に倒れている女性ジョディを助けます。彼女もまた知らぬうちに森に迷い込んだようでした。3人は森を散策し、脱出の方法を試みますが、どんなに歩き回っても元の小屋に戻ってきてしまいます。

お互いの素性を話し合ううち、おかしなことに気づき始めます。サマンサはエンストしたのはニューハンプシャーだと言い、トムは車が故障したのはサウスダコタの森だと言い、ジョディは自分はウィスコンシン州にいたと主張します。その森も小屋も明らかに不可解な位置だったのです。

翌朝、3人が再び森を歩き出すと、地面にある防空壕らしきものを見つけます。中にはドイツ語で書かれた書類や地図、そして缶詰や酒もあり、不思議に思いながらも小屋へ持ち帰り食事にありつきます。

ジョディが「強盗したお金だ」と1984年製造の札束を見せたことで、3人は自分たちが異なる年代を生きているという事実に気づきます。ジョディの洋服のタグには製造年1984年とあり、サマンサが今は1962年であると言い、トムは現在は2011年だと言うのです。

その時、銃を持ったドイツ兵がやって来て皆拘束されてしまいます。3人は防空壕やナチスの存在に、もしかして第二次世界大戦の中に迷い込んでしまったのではないかと想像します。

トムが縛りを外して逆襲、男は拘束されますが、ジョディの首にかかっているペンダントに驚き「なぜこれを持っているんだ」と怒鳴ります。不思議なことに、そのペンダントはサマンサも持っており、トムは持っていたけど無くしたと言うのです。

3人の素性を遡ると記憶から消えていた様々な過去の因縁が分かってきました。3人は血縁者だったのです。ドイツ人の男はハンスといい、サマンサの父だったのです。

過去にハンスが戦死したことで、その妻と娘は不遇な道を辿り、不良に身を落とした娘ジョディには望まれない子、トムが産まれ、トムもまた不幸な境遇で育っていたのです。

皆の不幸の原因は、ハンスが戦死したことに始まります。この不幸な過去を打ち消し自分たちの未来を変えるためには、ハンスが戦死を免れることにありました。

その時、空爆が始まり森は騒然となります。サマンサは父親ハンスの命を守ろうと必死に彼を防空壕に押し込むのでした。

かくして、あの不可思議な森の出来事により未来は変えられたのです。ハンスは生き残り、慈善家として生涯を終え、娘サマンサは孫のジョディと共に幸せな暮らしの中にありました・・

「トランス・ワールド」見どころ・感じどころ

トランスワールドイメージ

◆過去と現在をつなぐ不可解な時空の森

冒頭、強盗が狙った金庫の中には何が? 商店主の「中身はお気に召さんよ」という言葉の意味は? その金庫は異次元へ続くどこでもドアーだった?

出口の無い不思議な森に引き寄せられた3人の男女は、何のために出会い小屋に集められたのか?
3人は異なる場所から来た? 3人は生きている年代が異なる? ここは時空を超えた世界? お互い見ず知らずの他人かと思いきや、実は血縁者かもしれない?

ミステリー&サスペンスに満ちた展開、結末に用意されたのはタイムパラドックス、誰かはハッピーエンドに、誰かはバッドエンドに・・

◆幸福人生を生きた人、消えちゃった人

時空の森に引き寄せられた3人の男女とドイツ兵ハンス、過去の因縁が明らかとなり、3人は血縁関係にあることが分かります。不遇な過去を清算しようとするのですが、その過程で、または未来の結果に受け入れ難い差が生じます。いわゆるパラドックスですね。

映画では、父ハンスと母サマンサと娘ジョディは幸せな人生を得たようですが、望まれずして産まれたトムは、理不尽にも産まれなかったことになり、その存在は消えてしまったのです。森のサバイバル生活で頑張ったのに、可哀そうなトム・・

不幸な生い立ちにあったトムは殺人という重い罪を犯したため生まれ変わることが許されなかったのかもしれません。でも、パラレル的にはジョディも強盗殺人を犯したのに、人生をやり直すことができました。この辺は、宗教観による難しい問題ですね、視聴したあなたはどのようにお考えになるでしょうか・・

★トムを演じたスコット・イーストウッドさん、似ていると思ったら、やっぱり、クリント・イーストウッドの息子さんでした!

「トランス・ワールド」現界と霊界の融合する世界

トランスワールドイメージ

本作を視聴して2つの事案に思い至ります。現実世界ではカオス的にも常に起こっているバタフライ・エフェクトと言われる現象、もう一つは、信ずる者は救われる、守護霊の存在です。

★バタフライエフェクトとは
1960年代にアメリカの気象学者エドワード・ローレンツ博士が提唱した論法で、一つの小さな変化が時間の経過に伴い大きな変化をもたらす現象を指しています。例えば、蝶の羽ばたきから生じる微小な空気の揺れが、風や気圧の変化により空間の動向を左右し、最終的には竜巻やハリケーンを引き起こす可能性があるという気象学上の考え方です。
これは気象事案というだけでなく、歴史上の出来事然り、私たちの人生や世の中のあらゆる出来事にも当てはまるとされています。

本作「トランス・ワールド」では、大戦で父親ハンスが戦死してしまったことから、残された妻や娘が不幸な人生を歩み、その連鎖で孫までもが孤児となり悪の道へと落ちてしまったのです。もし戦争がなかったら、ハンスが死ななかったら、一家は幸せに暮らせていたことでしょう。
大元の原因要素が変われば、将来の状況に影響を及ぼし、更に時間を経た未来においては大きな変化が生じるということですね。

★小さな努力が大きな成果に
バタフライエフェクトの考え方は、小さな出来事が、将来的に大きな変化をもたらす可能性があるということです。私たちの1日、限られた24時間には、たいしたことはできません。でも、私たちの未来は日々の小さな努力の上に成り立っていることは間違いありません。また、日々の小さな選択の積み重ねによって作られていくものです。勉強や運動に、仕事や趣味に、またボランティアなど、継続は力です!やがて大きな成果が目に見えて現れてくることでしょう。

私たちの行動は、自分の未来だけでなく、周囲の人々や社会全体にも直接的・間接的に影響を与えていくことになるのです。将来の姿を考えながら行動し、また人生の岐路においては選択を誤らぬよう熟慮することで、よりよい未来につなげることができるはずです。

★宇宙の大いなる高見の存在
映画の制作者は視聴者に、まず宇宙の大なる存在を示唆するため、冒頭でコンビニの店主に言わしめました「金庫を開けるのは構わないが、あなたが中身を気にいるとは限らないよ」と。あの金庫はドラえもんの「どこでもドアー」のようなものだったのですね。

ドラマの中で不遇な人生を送っていた3人は、なぜ時空の森「トランス・ワールド」に集められ、悲惨な負の連鎖を断ち切り人生をやり直すことができたのでしょうか。何らかの力が働き、もともとの原因を変えるチャンスが与えられました。
その力とは彼らを守る守護霊、先祖霊といった大宇宙の神霊であるかもしれません。本作ではそうした説明は全くありませんので、個々の想念にお任せするしかありませんが、制作者は言わずもがなで、大いなる高みの存在を伝えたい意志があったことが見てとれます。

★信ずる者は救われる
守護霊とは、個々の人を守ろうとする意思を持っている霊的な存在で、災難など不運を遠ざけ幸運に導く、夢枕に立ち何らかの示唆与えてくれるとされます。また功徳を積むことで、複数の高級霊が集まり引き立て援けてくれるとも言われます。
守護霊には芸術や音楽、学業やスポーツ、また仕事や技術において、個々の能力をサポートする役目も持っていて、当人の想いと努力により霊との関係は深いものになり、多くのインスピレーションを受けるとも言われてますね。

自分に縁のあるご先祖様も守護霊の一つで、本作「トランス・ワールド」では、どうやらご先祖様の恩恵があったようです。悲惨な人生を辿った3人の血縁者は、目に見えない霊的存在の大いなる力により、運命を良い方向に変えて再生することができました。

希薄とはなってきましたが、先祖崇拝は伝統的に今も信仰の対象となっています。スピリチュアリズム、心霊主義、民間信仰でも、祈りの力、念の力は見えない波動、つまり心霊波により守護霊に働き掛け、その霊験が顕現するとされています。
ご先祖様を敬い大切にする心は、きっと天に届き、一生懸命生きる子孫を見守っていてくださると、私は信じる者の一人です。

「トランス・ワールド」まとめ

はい、不思議な感覚のSFサスペンス&ミステリー映画でした。登場人物が数人と極端に少なく、森と小さな小屋がメインの低予算映画のようですが、見ているとどんどん不思議な感覚に引き込まれてゆきます。脚本が絶妙なのですね。

真実の断片が見え隠れしながら、後半その伏線回収が絶妙、ラストは不幸な因縁因果が鮮やかにどんでん返しとなり、不気味な森の暗いイメージを払拭する幸せシーンで締めくくられました。

過去の出来事は未来に繋がっている、未来は日頃の行いにかかっている、人生の選択を誤るな、併せて、ご先祖様を大切にしよう、そんなメッセージが含まれているようでしたね。

現界と霊界の融合する世界、世にも奇妙な物語ということでした・・

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!

本ブログはSWELLを使用しています
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この記事を書いた人

居所地:日本の中央山岳地域で田舎暮らし
映画・TVドラマ大好き人間
古代ロマン・スピリチュアル小説ファン
Pen name:東岳院展大
Blog nickname:福徳星人

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