こんにちは、皆さん!「人は死を乗り越えられるのか?」そんな問いかけを感じる映画、名作「シックスセンス」。静謐な空気の中に潜む恐怖と、魂を揺する深い感動が交錯する本作は、単なるホラーサスペンス映画ではありません。
特異な能力を持つがゆえに心に傷を抱えた少年と、児童精神科医の交流を通して描かれるのは “死者が見える” ことがもたらす戦慄と孤独、そしてそれを理解しようとする人間の優しさです。
視聴後には、日常の景色さえもどこか違って見えるような、そんな余韻を残してくれる珠玉の一編。今回は「死者と生者の交流」というテーマを振り返り、作品の魅力や死後の世界観を考察してみたいと思います。
「シックスセンス」予備情報
「シックスセンス/The Sixth Sense」は、1999年のアメリカのホラーミステリー映画。死者が見える少年コールと、彼を助けようとする小児精神科医マルコムの姿を描いたものですが、冒頭に「この映画にはある秘密があります」と表示され、まさに、その秘密が明らかとなる衝撃のラストが話題となり大ヒットした作品です。
【スタッフ】
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン
【キャスト】
ブルース・ウィリス(ダイハード・アルマゲドン)
ハーレイ・ジョエル・オスメント
オリヴィア・ウィリアムズ、
トニ・コレット
ドニー・ウォルバーグ
「シックスセンス」ざっくりあらすじ
小児精神科医マルコム・クロウは、心に傷を負った子供たちをケアしてきた仕事の実績が認められ、市民栄誉賞を受け、妻アンナと共に幸せな時を過ごしていました。
しかしその夜、家に不審者が侵入、その男はかつてマルコムの患者だった男ヴィンセントで、治療に失敗したと逆恨みしマルコムを銃撃すると、錯乱状態に陥り直後に自殺、マルコムは腹部を撃たれ意識を失ってしまいます。
◆ ◆ ◆

しばらくして傷が癒えたマルコムですが、事件以来、なぜかアンナとの会話がなく、マルコムは何とか関係の修復を図りますが上手くいきません。しかもアンナと親しくしている若い男の存在を知り、苦悩が続いていました。
ある日マルコムは、両親が離婚し情緒不安定に陥っている少年コールと知り合います。コールは生徒や教師から異端児扱いされ孤立していました。コールの母親も彼が心を閉ざす理由が分からず悩んでおり、マルコムは心のケアをしてあげることに。
マルコムの穏やかな語りかけに、コールはついに自分の秘密を打ち明け「死んだ人が見えるんだ」と口にします。彼らはどこにでもいて、自分が死んだことに気付いていないのだと言います。
コールは死者の霊から古い街の歴史や教師の秘密を聞き、戸棚では霊が再現する過去の惨劇を見て怯えていたのでした。
コールの話を信じられないマルコムでしたが、霊は恐ろしいものでなく、話を聞いてもらいたいために現れるのだと教え、霊の声を聞き、彼らを救うことを提案します。
その夜、コールの元に少女キラの霊が現れました。コールは恐る恐る彼女の話を聞くと、母親に殺されたという事実を口にし、妹が危ないとSOSを求めているのでした。
翌日、コールとマルコムはキラが住んでいた町へ向かうとキラの葬儀が行われていました。キラの霊は、悪事の証拠となるビデオテープが入った箱へコールを誘導します。そこにはキラの食事に細工を施す母親の姿が映っており、母親の殺人が暴露されたのです。
◆ ◆ ◆
キラの想いを叶えたコールは、霊を怖がらずに会話できるようになり、次第に明るくなり、生き生きと生活する姿をマルコムは笑顔で見守りました。
しかし、自身については、相変わらずアンナに無視され、しかも彼女が若い男と親しく接していることに苛立っています。そんなマルコムにコールは「奥さんと話す方法を教える。眠ってる時に話すんだ」とアドバイスします。
帰宅したマルコムは、泥酔し椅子で眠るアンナに話しかけます。するとアンナは「なぜ私を置き去りにしたの」と悲しそうに意味深な言葉を呟きます。
その時、マルコムはようやく気付いたのです。自分が死者だということに。マルコムはヴィンセントの凶弾を受けた時、既に死亡していたのだと思い至り確信します。
死を受け入れたマルコム・・アンナに別れを告げ・・目を閉じると大いなる光に包まれて・・
「シックスセンス」見どころ・感じどころ

◆第六感・霊感・幽霊の世界観
タイトルの「シックス・センス」とは、人間の持つ五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)とは別に、心や脳に依存する「第六感」、言い換えれば、潜在意識に潜む霊的な感覚を意味します。
コールはこの第六感の超能力により、シャーマンや霊媒のように死者の霊を見ることができるのです。コールは幽霊を恐れながらも、生者としての視点から死者の世界に浮遊する幽霊をみつめ、一方、マルコムは自身が既に死者であり幽霊であることに気づかず、さも生きているかのように振る舞います。
本作はミステリーやサスペンス、ホラーのジャンルに分類されますが、単に恐怖や脅しの恐ろしさではなく、じっくりと丁寧に謎解きの過程が描かれ、ホラー映画が苦手な人でも楽しめる作品です。
◆物語のトリックと衝撃の結末
映画の冒頭「この映画には秘密があります」との前置きがあり、その秘密は最後の最後で明らかとなるのですが、このラストの衝撃の事実はあまりに有名です!
死者が見える少年と、彼をケアする小児精神科医が体験する死者と生者の交流。主人公のマルコムは銃で撃たれた直後、既に死亡し、幽霊として存在しているのですが、マルコムは自分が死んでいることに気づかないまま、いつものように生活しています。
この事実は最後まで視聴者に伏せられ、マルコムがさも生きているように、戦慄と感動の物語は粛々と進んでゆきます。そして、ラストで驚かされました「あー、そうだったのか・・」と。確かに、生きているかのように振る舞っていたマルコムは、実はゴーストだったのだと、目から鱗が落ちるように理解するのです。
◆死者が生者として描かれる演出
トリックに騙されたと知り、再視聴してみることに。振り返ってみると、マルコムが人前で物を動かすシーンというのはなかったし、会話をしていたのは、死者が見えるコールとだけ、事件の後では、妻のアンナとの会話では、マルコムが一方的に話すだけでアンナには届かず無視されているようなシーンばかり・・
マルコムは死者の世界にいるため、現実の世界の中にあっても、全体的に静謐なタッチで描かれ、それがために違和感を覚えるシーンがあり、それは細やかなトリックや演出だったことが再視聴でよく分かりました。な~るほどって。
また、霊との交流を示唆するシンボルとして赤色が印象的に使われていました。赤い風船や赤いワンピース、教会の赤いドア、赤いテント・・
こうした怪談のようなストーリーの雰囲気を更に醸し出しているのが、古いレンガ造りの町並みや石畳、歴史的な建造物、いかにも幽霊が現れそうな古都の舞台背景が用意されていました。
「シックスセンス」に見る死後の世界と臨死体験

あの世の捉え方と臨死体験
「シックスセンス」では、幽霊たちは未練や感情を抱えた存在としてファンタジックに描かれます。その中では、自分と、そして対峙する相手との関係にドラマチックな物語性を孕んでいます。
対して、臨死体験は、字の如く、死に臨んだが、死の淵から甦った人々自らが見た世界を指します。科学的には脳の生理的変化によって説明されることが多く、臨死体験者の多くは、文化や宗教を問わず、トンネル状の視覚や眩しい光、過去の回想、離脱感、あの世の存在との接触といったビジョンで共通する体験が多くが語られます。
映画が感情や恐怖を通じて死を描く一方、科学は現象の背景にある神経学・生理学・物理学から探求するという点であの世の捉え方は大きく異なります。
死後の世界を、霊や魂は存在するとして捉えるか、単なる脳内現象として捉えるかという問題は、今のところ、人それぞれの世界観によることになるのでしょう。
究極の旅=臨死体験
臨死体験(NDE: Near Death Experience)を経験した人々は世界中に多く、彼らは臨死体験後、人生観や死生観に変化があったと語っています。何故そうした変化が起きるのでしょうか?非常に興味深いですね。
体験中に「無条件の愛」や「深い安らぎ」を感じたことで、死を終わりではなく「移行」と捉えるようになり、死への恐怖が消えるとのこと。愛と安らぎを感じるとは、天国など、いわゆる神の世界に近づいたからなのでしょうか?
臨死体験後は、お金や地位など物質的価値より精神的価値を重視するようになった、人とのつながりや思いやりを大切にするようになった、自分の存在意義や使命を感じるようになり、よりポジティブに生きるようになった、とも。
これらの変化は、科学的には、極限状態での意識体験が深い心理的インパクトを与えた結果と考えられています。
いずれにしても、臨死体験という究極の旅を経て「一度死んだ、あの世を見た」人達の多くは、その後の人生観が変わり、よりよく生きようとする意識が高くなるようです。
また「あの世があることを」信ずる人は、医学上、健康における免疫力が高まり病気の症状を和らげる、といった効果も報告されています。
あの世が存在する7つの理由
死後の世界、臨死体験というテーマに興味を持たれた方に、ジャン=ジャック・シャルボニエ氏の著作「あの世が存在する7つの理由」を推薦いたします。
救命救急の現場で蘇生医師としての経験を積んだ彼は、著作の中で、肉体の死は意識の終わりではない、臨死体験や体外離脱の事例を通じて「魂」や「意識」は肉体とは独立して存在しうる、と述べています。
また、死後の世界の存在について、観察や実験、臨床経験に基づいた7つの根拠を挙げ、科学的にも論理的にも支持されうると述べ、死後の世界を信じることで、死に対する不安が和らぎ、より前向きに人生を捉えることができると説いています。
つまり、「魂は死なない」「死後の世界を信じることで人生が豊かになる」という考え方を、科学的視点とスピリチュアルな洞察の両面から支えようとしている内容であり、今や私の座右の書の一つともなっています。
「シックスセンス」まとめ
はい、シックス・センス(第六感・霊感)の特殊能力により、死者の霊が見えてしまうため、心を閉ざした少年と、彼を救おうとする小児精神科医の交流を描いたホラー?作品でした。
恐怖シーンもありますが、親子の絆や夫婦愛など、深い人間ドラマが盛り込まれた感動作としても知られています。
本作は、一回目の視聴ではラストで目から鱗ですが、いまいち不可解な面が残ります。主人公が既に死者だと言うことを知った上で二回目を、再視聴すると面白さ倍増!です。
霊が見える少年コールは「幽霊が出てくると寒気がするんだ」と言います。確かに怪談話には冷気が付き物、夏にはゾ~ッと涼しくなりますよね。この点、世界共通のようです。

★それでは、またお会いしましょう。Good Luck!